知らないと大変!消防法による飲食店の内装制限とは

飲食店では内装制限があります。その内容をチェックしておきましょう。
 

内装制限とは

内装制限とは、建物の火災の被害を最小限にし、入居者や利用者の命を守る法律です。建築基準法と消防法2つの法律から成り立っており、火災時の初期における安全避難と、火災予防や初期消火、本格消火を目的としているものです。

それらをクリアしていない建物に関しては、建築基準法違反となり罰則があります。

壁や天井には準不燃材料や難燃材料を使用することと定められていますが、床は制限の対象外となっています。接客業務をおこなう業種が対象であり、建物の種類ごとに基準が細かく分かれています。

火を扱う店舗は特殊建築物となり、火災が発生した場合にその被害を最小限にとどめるために内装で使用する素材などに決まりがあります。

その決まりを内装制限といいます。内装制限は、建築基準法第35条の2、建築基準法施行令第128条の3の2から第129条により定められています。なお、学校は内装制限の対象外となっております。
 

該当する建物の例

飲食店/カフェ/バー/映画館/病院/診療所/ホテル/共同住宅/児童福祉施設等/百貨店/スーパーマーケット/展示場/住宅以外の調理室/ボイラー室/無窓居室/温湿度調整を要する居室など、上記以外にもさまざまな建物が当てはまります。
 

消防法と建築基準法における内装制限の違い

消防法

火災の予防、初期消火・人命救助のしやすさなど、消化火災全体の予防と発生時の対応のしやすさなど、総合的に規制しています。
 

建築基準法

耐火性のある防火材料を使うことで、火災初期の急な火の広がりを防ぎながら避難するための時間を稼ぐことが可能になります。対象となる建築物は種類や床面積、階数によって定められています。建築基準法による内装制限は、避難という部分にフォーカスされていることを覚えておきましょう。

また、場所によりますが上記の法律の他に「都市計画法」など、地域ごとに法律が加わることもあります。
 

建築基準法

建築基準法では主に火災の初期における安全避難を目的としています。建物内部の壁や天井の防火素材、建物外部の廊下や階段の防火素材についての決まりとなっています。

火災の拡大を防ぎ避難と消火活動を促進するために、建築物の用途や規模などに応じて内装材料を制限しており、壁と天井の室内に面する部分が対象です。床面から1.2m以上の高さがある天井や壁が対象です。火は上に燃え広がる性質があるためです。

防火性能を備えている内装材を使用することが義務づけられており、防火性能は国土交通大臣が認定した材料となります。防火性能は、難燃、準不燃、不燃の3つのレベルに分類されます。

燃えにくさは、不燃材料から順に準不燃材料、難燃材料の順で、不燃が一番燃えにくい内装材であることを指します。1.2m以下の壁は建築基準法では制限の対象ではありませんが、消防法令上は制限対象になります。

そのため、内装を制限する法律は建築基準法だけではなく、消防法にも注意を払う必要があります。 壁のアクセントとして仕上げ材の一部を変える場合は、消防法で問題がないかを確認する必要があります。

また、建築基準法の内装制限を守らないと違反建築として法により罰せられます。内装制限がかかることを知っていて建築基準法違反となる施工をすると、個人では懲役3年以下または罰金300万円以下となり、法人では1億円以下の罰金が課せられます。
 

消防法

消防法は火災予防や初期消火、人命救助、そして本格消化を目的としており、消火器の設置などを義務付けた法律です。避難を妨害しないように通路に物を放置しないのはもちろんのこと、燃えにくい物を使用することが定められています。

消防法は総務省消防庁が管轄している法律であり、火災防止のための設備や建材に決まりが設けられています。第七条では、消防設備に関する記載があり、消火設備、警報設備、避難設備を用意しなくてはならないことが明記されています。

内装についても、第四条三項において壁及び天井の室内に面する部分に使用されるカーテンや布製ブラインド、じゅうたんなどの敷物類などを防火防災対象物に認定認されているものを使用することが決められています。内装工事前に消防法を再度確認する必要があり、所管の消防署に事前相談することがおすすめです。

また、消防法に違反したケースの罰則は1年以下の懲役または100万円以下の罰金、法人の場合3000万円以下の罰金となります。
 

消防法による内装制限の目的とは

消防法で内装制限を定める目的は、火災予防と初期消火の効率を高めるため、そして人命救助や本格消火を効率的におこなうためでもあります。耐火性のある素材を選んだり、警報設備・消火栓を適切に設置する方法で内装制限を守ることができます。特に消火栓の設置は義務とされています。万が一の事態に備えるためにも目的を理解しておきましょう。
 

飲食店における内装制限(消防法)とは

特に火を使う飲食店では、消防法第十七条において設備についての基本的な制限が定められています。飲食店の内装については自由にデザインされているように見えますが、店内には多くの人が集まる場所であり、さらに厨房では火の取り扱いもあるため、細かな制限が設けられいます。

飲食店では、1.2m以上の高さがある天井や壁が対象になります。床は内装制限の対象外となっていますが、それは火が上に燃え広がる性質があるからです。壁や窓際に設置するカーテンやブラインド、床に設置するじゅうたんなどの敷物類などは、いずれも消防法施行規則に基づいた防災対象物品である必要があります。

市場に流通している成形品について、防火材料として規格基準をクリアした物品には認定表示マークが付けられています。消防法上の内装規制が守られているかは、このマークがついている製品を使用しているか否かで判断することができます。

厨房の調理器や周囲との離隔距離などについても規制があり、特に火気を用いる調理器には細かな規定があります。一方でIHクッキングヒーターのように電磁誘導で加熱する機器などでは規則から外れる場合もあります。

他にも、耐火建築物の場合は3階以上の床面積が1000㎡以上、準耐火建築物では2階以上、500㎡以上、それ以外の建物は200㎡以上のときに内装制限の対象となり、対象となる廊下や階段、通路などは、火災時に避難経路となるために、準不燃材または難燃材料以上の耐火性がある材料を選ぶこととなります。

特にビルのテナントについては木材を使う場合は注意が必要なため、あらかじめ施工業者に確認をとりましょう。

飲食店を開業する際には消防設備の設置と届出書類を消防署に提出することが義務付けられています。提出を忘れたりすると、消防法違反になるため注意が必要です。
 

内装制限の緩和策

さまざまな消防法による内装制限がありますが、それらを全て厳守することは難しい場合もあります。そのため緩和策を用いた内装をおこなうことが一般的となっています。
 

天井の高さ

上記でも説明したように床から天井までの高さが1.2m以上の高さがある天井や壁が消防法に該当しますが、6メール以上にすると内装制限の対象になりません。

煙は下から上へ流れる性質があるため、天井の高さが確保されていれば床付近は安全とみなされ、この場合では窓などの排煙設備が無くても問題ありません。
 

スプリンクラーの設置

緩和策として代表的といえるのが、店舗の天井にスプリンクラーを設置することです。スプリンクラーの消化性能は高く、スプリンクラーと排煙設備が整っていれば内装制限の対象からはずれます。これによって、天井や壁に木材などを使用することが可能となります。

また水噴霧消火設備、泡消火設備などの消火設備を設置した場合も内装制限の対象外となります。煙を建物の外へ排出する排煙設備を設置した場合も、同様に内装制限の対象外とすることが可能となります。
 

内装制限、違反するとどうなるの?

そもそも内装制限・防炎規制に未対応、あるいは違反している状態では営業が開始できません。万が一そのような状態を放置してそのまま営業していたことが発覚し、消防長や消防署長から消防法上の措置命令を受けたにも関わらず対応しない場合は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられ場合があります。

罰則の対象者は、防火対象物の所有者、占有者、管理者、これらに準ずる人が該当します。また業務停止などの処置などの重い罰則を受けることにもなりかねません。

飲食店など賃貸物件で営業をおこなう場合の内装の施工は、事業主の責任において慎重におこなう必要がありますが、内装制限や防炎規制については、かなり細かく専門的な知識となるため内装工事業者としっかり相談するようにしてください。内装を無許可で勝手に変更した結果、内装制限や防炎規制に違反状態となっている

ことも実際に起きています。決して軽い刑事罰ではありません。内装制限は十分に注意してしっかり守りましょう。
 

まとめ

建築基準法が安全避難を目的としているのに対し、消防法は消火に重点をおいた法律となっています。飲食店における内装制限では、人命にかかわる重要な事項となるため、安全基準を満たした内装にすることは最優先事項といえます。

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