飲食店の保険加入の必要性や保険の種類、保険加入前に知っておきたいリスクなどを解説します。
飲食店が保険に加入する必要性
保険とは、いざという時に備えてのものです。飲食店などの店舗では、トラブルなどが大きな損失を生むことがあります。それらをカバーすることができるものがさまざまな保険です。加入することで万が一のいざに備えて、自己負担を最小限にとどめ、損失を補償で補うことができます。
保険の種類はたくさんあるため、店舗に合う保険を選ぶことが大切なポイントとなります。自店舗で起こり得るリスクを考慮し、どの程度の補償が必要なのか、そしてそれらに対してどのような種類の保険があるのかを把握しておきましょう。
飲食店で想定されるリスク
飲食店や食品業の事業ではさまざまなリスクが発生する可能性があります。それらのリスクについて確認しておくことは、事前にトラブルを防ぐことにつながるだけでなく、対処するためにどのような保険が必要であるか明確にすることができます。
食中毒
飲食店にとって最大のリスクといえるのが食中毒によるものと考えられ、店舗側に過失があったと認められる場合には賠償責任などが発生します。食中毒では一度に多くの被害が出ることが想定され、重症化、最悪の場合は死亡事故につながる可能性もあります。
火災
料理を提供する飲食店では、身近なリスクに火災が挙げられます。また自店舗による火災だけでなく、隣や近所で発生した火災によって延焼することも考えられるのです。
休業
新型コロナウィルスのまん延によって、飲食店が大ダメージを受けたことは記憶に新しいものです。店舗が休業に追い込まれるリスクがあることを多くの飲食店が感じたかもしれません。その際は従業員に対する補償なども必要となります。
保険に加入するメリット・デメリット
メリット
メリットは保険に加入していることで、損害賠償金の一部や休業期間中の売上の補償をしてくれるという点です。事故や災害が起きたときに、飲食店向けの保険が経済面での支えとなるのです。
デメリット
デメリットとして、定期的な保険料の支払いが発生することが挙げられます。飲食店に起こり得るリスクに対して手厚い補償を考えて、複数の保険に加入すると保険料の支払いが経営の負担になる場合もあります。本当に必要と思われる保険を慎重に選ぶことが保険料の対策となります。保険料が安すぎると、補償額もそれなりとなってしまう点は注意が必要です。
飲食店が加入すべき各種保険
飲食店を営業していくうえで、必要と考えられる保険を紹介します。
店舗保険
店舗保険は飲食店など店舗のための保険になります。さまざまなものがあるので、自店舗に合った必要なものを選択して加入することがおすすめです。
火災保険
火災や自然災害などによる、店舗や店舗内の設備、什器・商品・製品に対する補償がある保険になります。火災は飲食店においてリスクが非常に高く、いつ起こってもおかしくないと考え、加入しておくべき保険といえます。また、火災保険は火災だけでなく風災や落雷、水漏れ、盗難など幅広くカバーするものが多くみられます。
施設賠償責任保険
飲食店の店舗内外で店側の過失により顧客や通行人に与えた損害を補償する保険で、店舗施設に関わる事故が対象となります。事故発生時に応急手当をした際の費用や、さらに裁判になった際の費用もカバーすることができます。
PL保険
PL保険は生産物賠償責任保険ともいい、食中毒や異物混入などで賠償責任が生じた場合にその賠償金を補償してくれる保険です。飲食業者にとっては、最も重要で必須の保険です。オプションによって訴訟時の弁護士費用や、見舞金費用、事故調査費用なども補償の対象とできる場合があります。
労働保険
スタッフとして、従業員やアルバイトを雇用する場合には労働保険によって、労働中の事故を保証することができます。仕事中に万が一怪我をしてしまった場合の保険となります。労働保険は飲食店に限らず、人を雇う事業所や店舗にとって必要性の高い保険となっています。
店舗休業保険
トラブルや災害によって休業を強いられる状況になった際に売り上げがなくなってしまうリスクに対する保険です。火災や感染症などによって店舗を休業した場合の損失などが対象となります。自発的に休業した場合や店舗に法令違反・過失のある場合は補償されません。
店舗総合保険
店舗総合保険は、上記の火災保険や施設賠償責任保険、PL保険などを一括でカバーする保険です。起こり得る複数のリスクを包括的に補償してくれる内容で飲食店で必要とされる最低限の保険をこれでまかなうことができます。それぞれの保険に個別で加入するよりも、とりあえず総合保険に加入しておくという店舗も増えています。
飲食店向け保険の選び方のポイント
リスクを考えると、どれも必要と感じてしまいがちですが、あらゆる保険に加入していると保険料の支払いが負担となってしまいます。どのように保険を選択したらいいのか、ポイントをおさえておきましょう。
ジャンルや店舗の状態を考慮する
店舗の広さや従業員数などを踏まえてリスクを洗い出したうえで、自店舗のニーズに合った保険商品を選ぶことが重要です。
補償対象を確認
どのような事態に対して補償があるのかをしっかり確認しておく必要があります。補償対象を誤っていると、いざというときに困る事態となります。故意や重大な過失は保険の補償対象外となります。
オプションの確認
オプションによって補償内容を充実させることが可能ですが、追加するほど掛け金は高額になるので注意して、自店舗に必要なものを厳選しましょう。
複数の保険商品を比較検討
同じ商品名であっても、保険会社によって補償される対象や支払われる保険金などが異なります。複数の商品を比較することで本当に必要と考えられるものがみつかります。
まとめ
飲食店が加入するべき各種保険をまとめました。補償内容が良いほど比例して保険料もあがります。自店舗に合う保険選びは、店舗の経営内容や提供するメニューの種類、調理方法、店舗の規模、スタッフの人数などを検討材料とするといいでしょう。補償内容と保険料を複数の保険会社で比較し、最適な保険を選択して加入するようにしましょう。
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